合体ロボの使い方

2001年7月14日
 アクチュエータと聞くとドキドキする。オトコの子だから。アポジモータって聞くとワクワクする。オトコの子だから。ガンダムって聞けば「乗りたい」って答えて、合体って聞けば「したい」って答える。それもオトコの子だから。
 もっとも日本の科学技術の進歩なんてあたしにはさっぱり判らない。アシモを見て叫声をあげたり、総重量43kgなんて数値を見てあらぬ想像を働かせたりするのが精一杯だ。
 しかし、ロボットなんて漠然とした響きを持つ言葉にすごく惹かれてしまう。DNAの深部に刻み込まれた何かが大きく鳴動する感じ。闇雲に走り出したくなる感覚はきっと男性諸氏誰もが一度は経験しているのではないだろうか。
 とにもかくにも、あたしはアシモを見て感動した。そして、今度も感動した。アシモにはない合体変形機構付き。そんなロボットが開発されたのだ。残念ながら人型ではないがソレでも十分。アシモと足して2で割れば、めでたく合体変形機構付き人型ロボの出来上がりだ。
 ドラえもんよりも早くガンダムが出来上がるかもしれない。コクピットとかもあるかも知れない。大気圏とか成層圏とか宇宙とかも。あたしの夢は果てしないのだ。
 しかし、いつも気になることがある。そういうロボの使用目的だ。福祉医療とか極限環境での作業とか。大事なことだ。すごく大事なことだと思う。ロボットが医療福祉に貢献すればきっとイロイロ助かる。ロボットが危険なところで作業してくれればさらにイロイロ助かる。少年のユメは?あたしのユメは助からない。
 出来るなら夢のロボットに乗ってひとっ飛び。ビューンと空の彼方まで行ってみたいのだ。
 
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ソシアルダンディー

2001年7月12日
 「うんこちんちん」といえば加藤茶の往年のギャグだが、銭湯だの健康ランドに行けばたくさんのちんちんを見ることができる。ハダカで入るのだからそれも当然だ。が、あまりぶらぶらはしていない。もちろんサイズの問題とかではなく。相当な規格外を除いて、それらはどんなに素っ裸になろうとも、揺すりでもしない限りそうそうぶらぶらしないものである。そういう意味では臆面もなくちんこぶらぶらなんて言ってしまう男子児童諸君は相当な自信家なのだろう。
 ところで、先日もあたしは銭湯にいそいそと出かけた。断っておくがちんちんを見るためではないし、見せるためでもない。広い湯船に浸かれば最近たまり気味の疲れも吹き飛ぶだろうと思ったのだ。いそいそと服を脱ぎ、いそいそと体重計にのって、いそいそと中に入って以下略。いそいそと雑事を済ませて湯船に浸かろうと思ったその時、目の前を何かが通過していった。しかも揺れながら。懸命な諸兄ならもうお判りだろうが、そうアレだ。
 ソレはあたしの目の前をぶらぶらと揺れながら通過していく。なんてことだ。人が気持ちよく湯船に浸かろうと思ったのに、何故にコレはそれを邪魔するのか?あたしが怒り半分興味半分で顔を上げてみると、なんと。おヒゲを生やしたダンディーがマッパで社交ダンスの練習をしているではないか。
 流れるような足捌き、身のこなし。背筋をピンと伸ばしてダンディーが踊っている。当然カレのダンディーもぶらぶらだ。
 ツータッター
 ぶらぶら
 ツータター
 ぶらぶら
 ご機嫌にターンまで決めるソシアルダンディー。マッパで踊るソシアルダンディー。周りの目なんてどこ吹く風でツータターぶらぶらである。そんな彼はすごくステキで、あの揺れに悩殺されそうなのだ。
 ぶらぶら。
 
 
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後ろ前に生きろ

2001年7月10日
 前向きに生きなければいけないことなんてない。そう言っていただけるならどんなに救われることか。友人フクヤケイスケは言っていた。そして言っている。どうも何かに疲れているらしいのだが、そういう疲労感は伝染するので、出来れば近くに寄りたくない。たとえ話を聞いて欲しそうな顔をしていても御免被りたいのだ。しかし、ヤツの巧みな話術にのせられていつの間にか相談にのっている。
 辛そうな顔で「オレさー」なんて本題を持ちかけられて「そうだよなー」なんて。思いもしないのに同意してしまう自分にこそ同意できないのに。現実はなかなか上手く行かないモノだ。
 あたしの目の前に並んだランチも美味そうだったのに、沈みがちなテンションでは味なんてどこかへいってしまう。それがたとえ奢りであろうと、食べるというより摂取する。ゴハンには大変申し訳ない。
 しかし、あたしの他に同席した一名は、目の前に並んだランチを美味そうに頬張りながら、こんなコトを言うのだ。
「前向きに生きるのがイヤなら、後ろを向いて前に進むというのでどうか?」
 後ろ向きに生きるのではなくて、あくまで前に進んでいる。ただし前は見ていないが。それが一体どういうことか、あたしにはいまいち理解出来ない。当のフクスケもよく飲み込めていないようだったが、
「でも、それだと転ぶよ」
 ただ、常識的理解として前を見なければ転ぶということを非難混じりに口にした。するとその一名さまはさらにこんなコトまで言う。
「転べば判るだろ」
 昼時のファミレス。四人掛けのテーブルの上には3人前のハンバーグランチがのっている。その上をなにかが飛んでいって、沈黙が訪れる。
 ヤツがまた美味そうにハンバーグを頬張りはじめて、あたしもそれに続く。フクスケは相変わらず黙ったままだが、ゆっくりゆっくりと咀嚼するように頷いていた。
 結局それから誰も口を開かず、ただただ黙って食べ続けた。あたしはと言えば、漸くわかりかけてきたハンバーグの味がしょっぱいだけだと知って、案外そんなものなのだろうな、なんて思いながら通りを行く人々を眺めていた。
 サラリーマンや主婦、学生。老人も子供も濃い影を残して様々な人が通り過ぎていく。
 未だ真夏日の続く6月或る日の出来事だった。
 
 

コロネのある生活

2001年7月7日
 7月。25才の夏が来た。四捨五入すると30男の、すね毛も剃らずに半パンの季節がやってきた。のだが、よくよく観察するに最近の若造は結構すね毛を生やしていているので、むしろあたしの方がすね毛でも剃ってみようかとも考えている。すね毛の分だけ涼しくなるかも知れない。
 しかし、すね毛の保温効果まで心配するようになったら末期的だろう。それもこれも偏に最近続きに続いた猛暑のおかげなのだが、どうにもこの暑さではあたしのやる気も続かない。それどころかいつにも増して減っている。テーブルの上にあらせられるチョココロネさんなんかは中身がダラリとはみ出す始末。微妙にホラーなカンジを漂わせている。
 そろそろカビでも生えるのではないかと心配しているが、値札の上に半額シールがデカデカと張られたビニールはまだ破られておらず、買ってきたときの姿のままだ。もっとも別に袋から出さなくてもカビは生える。スーパーの見切り品なのだし、賞味期限とかも推して知るべしってモノだ。
 早く食べなければいけない。チョココロネさんもそう願っているだろう。カビだらけの無惨な姿をさらすのは食物として本意ではないはずなのだ。しかし、そうもいかない理由があった。正確にはそうもいかなくされたのだ。フクスケに。
 先日のことなのだが、それは喜び勇んでチョココロネとフクスケを連れて帰宅した時から始まった。何しろ、普段からあまり菓子パンを買う癖のないあたしには、偶然立ち寄ったスーパーの、しかも見切り品コーナーにそれがあれば、なんかたまにはいいかなー?とかも思ってしまう。たまたまチョココロネが一つしかなかったのが問題なだけで。一緒にいたフクスケの分がなかったのが問題なだけで。とにかく帰り道終始黙りっぱなしのフクスケは家に着くと早々に
「ただ食うんじゃつまんないからよー、なんかルールとか決めようぜ」
 なんてことを言いだした。それはどうかと思うのだ。あたしがあたしの金で買って、あたしの手で持ち帰った、あたしのチョココロネに、なんでルールとかが必要なのか。しかし、フクスケは得意満面だ。世界の真理をくつがえすくらいのことを言ったかのような面もちで、鼻息も荒い。そして、ヤツは言うだけ言うと、冷え冷えの麦茶を3杯飲んで帰っていった。
 正直なところ、あたしにフクスケルールを守る義理はない。義務もない。権利はあるがすすんで拒否したい。何もなかったことにして食べてしまえば、チョココロネもあたしも幸せだったに違いない。しかし、チョココロネは家に来てからこっち、テーブルの上で暑さに耐えている。なんだか中身の方は限界みたいだが、あたし達を縛るフクスケルールのおかげで最後の一歩を踏み出せないままでいるのだ。
「チョココロネの前が判るまで喰うべからず」
 そんなフクスケルール。チョココロネに前も後ろもあるか!とは思うが、あの捻れた形を見るだに前や後ろはありそうなのだ。尖っている方が前か?縁起を担いで末広がりか?それとも思いもしないところなのだろうか?いくら考えたところで、そんなこと誰が知っているというのだ。答え合わせはどうするのか?結局本日で3日目。
 未だチョココロネはそこにあるのだ。
 
 

隣は何をする人ぞ

2001年7月5日
 「短大生殺害で3軒となりの男を逮捕」
 そんな文字がテレビで踊っている。そして缶コーヒーのCMになった。オノ・ヨーコのダンナが歌っている。
 昔は向こう三軒両隣とは言ったモノだが、3軒となりの男に殺されるようでは、恐ろしくて米も醤油も胡椒も借りにも行けない。おまけに作りすぎた肉じゃがとかもやってこないではないか。
 別にあらぬ期待をしているわけではないが、「3軒となり」という見出しは、あからさまに人付き合いの閉鎖感を喚起させるようでいやらしい。しかも犯人が素知らぬ顔で事件後の取材に応じていたというから尚更だ。
 驚きを隠せないと言った表情でインタビューに答える犯人。興味深そうにマイクを向けるレポーター。テロップまで付けてそれを放送するニュース。
 ショッキングで悪趣味だがジョンの歌には負ける。
 そんなことを考えた。
 
 

蚊取り線香余話

2001年7月3日
 先日、シイタコラムに蚊取り線香の話を書いた。あたしが蚊取り線香を買って、モスキート共の大量虐殺を計画し、そして逆に殺されそうになったという。そのコトの顛末をセキララに語ったものだ。手前味噌でなんなのだが、あたしのウェブサイトに設置されているBBSでは、そのコラムを読んでたいへん感銘を受けたという有志数人と共にそれの話題で盛り上がったり下がったり、それはそれは楽しんだのだ。何度も言うが感銘を受けた有志数人だ。あたしは今でもそう思っている。その辺りに関しては特に意見とか求めない。
 ところで、あたしのICQリストにはTrinityというアメリカ在住のお嬢さんが入っている。ICQに付属するランダムチャットという夢のような機能をヒマに飽かせて試み、うまいことゲットしたモノだ。そして彼女とは幾度となく会話を交わし、おかげで今ではネイティブをも混乱させる見事な英語力を身につけた。ちなみに彼女の口癖はwhat? あたしの口癖はi cant understandだ。こんな二人はとてもキュートだと思う。
 そして、本日も彼女とPOPでSWINGな会話を楽しんでいたのだが、彼女はどうも異文化、つまりステイツ以外の国の文化にたいへん興味津々だと言う。そこでひらめいたあたしは彼女にこう聞いた。
「ステイツに蚊はいるかい?」
 すると彼女は「what?」と返してきた。彼女お得意のセンテンス。しかし、母国語以外で会話するあたしに会話の脈絡を気にする余裕は無い。当然、なぜ蚊の話をふったのかなんて一切説明しないまま、さらに彼女にこう言った。
「日本では“蚊取り線香”で蚊を退治するんだ!!」
 しかし、彼女の反応は「is that a book?」なんと言うことか。蚊取り線香は本じゃない。どうやら彼女は日本人が本の音読で蚊を落とすと思ったらしい。たいへんな誤解である。しかし、そんな誤解を解くほどの英語力を持ち合わせていないあたしには、勝手に会話を進める以外にそれを取り除く方法は無いのだ。だから、あたしは彼女に蚊取り線香のグラフィックを見せることにした。あのグルグルから煙が上がっているグラフィックなのだが、やはりその様を見ても彼女には理解できなかったらしく「what?」という返事が返ってきてしまった。とても悲しいことである。しかし、運のいいことにあたしは前向きなのだ。だから彼女とのコミュニケーションは諦めない。
「蚊取り線香は、その煙で蚊を退治するのさ」
 そして、とうとう必殺の一言を放ってみた。蚊取り線香の存在そのものをごくごく簡単に、明快に説明したのだ。これで理解されなければ、あたしと彼女の仲もそれまでだろう。
 返事はしばらく返ってこなかった。
 アッアゥ。というあの音が懐かしい。小さなマイハートを押しつぶすかのような沈黙が続き、突如彼女の返事があった。そこには一言「bye!」とだけ。
 別れはいつも突然なのさ。特に彼女との別れはいつもこうなのだ。あたしのサヨナラも聞かずに彼女はログアウトしてしまう。次に会話ができるのはいつだろう。そして彼女は蚊取り線香が何か判ったのだろうか? 部屋の片隅でうっすらと煙を吐くブタの置物を見ながら、あたしは思うのだ。


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季節物一品

2001年6月26日
 梅雨があければ本格的な夏がやってくる。そして、この時期になるとベープやら金鳥やらのCMがテレビをにぎわし始めるのだ。季節モノのCMとでも言おうか。年に二度、夏の終わりとクリスマス後にやってくる妊娠検査薬のCMやホッカイロのCMなどもそうだろう。それらはある種の寂寥感やノスタルジー、加えて風流を携えている。間違いなく日本の風物詩の一つなのだ。
 特に蚊取り薬のCMなどは無駄に夏休みや虫捕り、キャンプなんて雰囲気を強調する。そのため、夏休みなんて無い。虫も捕らない。完全にインドア生活の染みついたあたしにしてみれば、まさしくノスタルジーの塊なのだ。子供時代を思い出す。
 しかし、だからというわけではないが今年は蚊取り線香を買ったのだ。あのグルグルと渦を巻いた形のアレだ。
 あたしの郷里はだいぶ田舎の方なので、夏になるとそれはたくさんの蚊だの虻だのが河原やその辺りを飛び回る。身体中虫さされ跡だらけになっても走り回ってキンカンのお世話になったことを思い出しながら薬局で一箱34巻入りと書かれたそれを手に取ったのだが、その蚊取り線香という呼び名にはもう一つ思い出があった。
 といっても蚊取り線香そのものではなく、線香の部分だけなのだが、あたしの実家では毎朝仏壇に線香を供えるという慣習があって、あたしも物心つく前からそれをしていたので、線香の香りはひどく懐かしいモノなのだ。
 そんなわけで、あたしはその蚊取りの効能を持つ線香をブタの置物と共に購入した。そして部屋に帰り、早速使ってみたのだが、やはりあのグルグルから煙が立ち上る様は、ブタの置物から煙が昇る様は、なんとも心地よいモノなのだ。匂いの方は記憶の中の線香にはほど遠いが、その辺は蚊取りの効能を考えれば楽に許せる範囲だ。
 音楽を聴きながら、仕事をしながら。テレビを見ながら、あたしはグルグルと共に一日過ごした。一巻き終われば、ちゃんと二巻き目をセッティングし、グルグルと共に時間を過ごす。それは日本人に生まれた幸せをしみじみと感じる時間だった。
 しかし、時の経過と共に感じる違和感。夜中も丑三つを過ぎた辺りであろうか、どうも気分が優れない。なぜだろう?なぜだろう?この時間まで起きてるのはいつものコトだ。なぜだろう?なぜだろう?
 そして目に付くブタの置物。目から鼻からじんわりと蚊取りの煙が昇っている。ふと蚊取り線香の箱に目がいき「使用上の注意」を読んでみると、そこにはこう書いてあるではないか。
「本品はピレストロイド系の殺虫剤です。閉め切った部屋や狭い部屋で使う場合はときどき換気して下さい」
 そうなのだ。あたしはカンチガイをしていた。蚊取り線香は、蚊の取れる線香ではなくて、線香型の蚊取り薬なのだ。閉め切った部屋で使えばピレストなんとかを含んだ煙が部屋中に立ちこめるだろし、それが24時間以上ともなればタダでは済むまい。まったくモノには限度があるのだ。煙草と蚊取り線香の煙で白くなった部屋を換気しながらあたしは思う。
 危うく風流と心中するところだった。
 
 

こどもよこども 2

2001年6月25日
 あたしの家の近くには商店街がある。商店街だけあっていろいろな商店があるのでたいへん重宝しているのだが、近くに住宅街もあって、おかげで子供もたくさん居るのだ。
 あたしは正直なところ子供がキライではない。むしろスキとかキライとかではなくて、もっぱら興味の対象である。それは別にロリとかショタというワケではなく、彼らのナニをするかわからないところがたいへんステキではないか!しかもバカみたいだし、機械みたいだ。自分にも同じ時期があったのだろうが、それにしたって彼らは不思議な生物なのだ。あたしは子供という時期の特別性をたいへん尊く思う。それくらい子供はステキなのだ。
 そして今日も子供を見た。5才くらいの子供だが、彼は「あわわあわわわわ。あわわあわわわわ」と言っていた。両手を空高く挙げて、まるで天を掴もうとするかの様な格好で「あわわあわわわわわ」と言っている。最近は不審な子供が増えたモノだ。正直そう思ったのだが、どうもその様子を観察するに手に何か持っている。「あわわあわわわわ」という声にも規則性がある。何だろう?
 よくよく観察するに右手に水鉄砲を持っている。そして、それを大空めがけて撃っているのだ。なんとも不思議な光景である。何もない虚空めがけて、もしくは大空めがけて水鉄砲を撃っているのだが、結果は判りきったこと。天に向かって撃ち出された水はある程度まで行くと当然落ちてくる。それが顔にかかるのだ。「あわわあわわわわ」が規則的なのは、どうもその水が顔にかかる度に発しているかららしい。
 天に向かって唾を吐くとは言うが、天に向かって水鉄砲とは。その年にしてことわざを体現する彼が将来どんな大物になるのか、あたしにはまるで予想もつかないが、今まさに彼がステキな時代にいるということだけはイタイほどわかった。
 そこにあるノスタルジー。戻れるモノなら戻って、一緒にやってみたいモノである。
 「あわわあわわわわ」て。
 
 
 
 子供にノスタルジーは感じるが、オトナはやめられんなー、ゲヘヘ。なんて考えている、そんな桜井シイタさんのウェブサイトへはページ左上の家マークからも行けますが、ちっこいので見逃しそうです。だからリンクも出しておきます。
 
 
 さて、永田町社会科見学編も今回で最終回。そしてトリを飾るのは、あろうコトか新宿の居酒屋での大問題。永田町でも何でもないが、その前にまだまだ続く永田町徘徊。自民党本部に立ち寄ったもう一つの理由を切々と語らなければなるまい。それは溜池山王の小さな個人商店から始まるのだが。
 主な原因は、艦長よりも先にあたしが根を上げたコトだった。何しろ猛暑の中、坂の上り下りであたし達はのどが渇いていたのだ。だから目に付いた個人商店の軒先でアイスを売っていればすかさず所望しようと言うものである。そしてモナカアイスを囓りながら歩けば、上り下りなんてどうってコトはないのだ。
 ないのだが、しかし食べ終わって数分もせずに襲ってくるだろうのどの渇きにまでは考えが至らなかった。そうなのだ。のどが渇いたからといって、アイスなんぞ食べてはまるで逆効果だ。ジリジリとあたし達を責める太陽光線はメラニン色素とかそんなのよりなにより水分を奪い、そしてあたしが再び根を上げた。
「のど渇いた」
 しかし、暑いといえばいうほど暑くなるが如く、言えば言うほどのどは渇く。だからといって殊勝に黙っている艦長ののどが渇いていないかといえばそんなことはなく、ここから永田町徘徊の目的が社会科見学から水探しに変更された。まさか大都市の真ん真ん中で水を探すハメになるとは思わなかった。しかも偏屈な現代人ふたり組には来た道を戻るなんて考えはなく、この時点で議事堂とか駅とかおおよそタダで水の飲めそうな場所は無くなってしまったのだ。しかもコンビニなんて見あたらない。どちらにしろこの時点では二人して水に金を買うという選択肢を消し去ったのでコンビニが出てきてもきっと無視したに違いないが。
 そんなこんなで、ふらりふらりと溜池山王界隈を後にして再び永田町駅付近へ。目指すは国会図書館か自民党本部である。国会図書館なら間違いなく水を飲める場所はあるだろうし、自民党本部もポスター買いがてら水くらい飲めるだろうと考えたのだ。
 しかし、その考えが甘いことをすぐに思い知らされた。何しろ観覧用のバッジを胸に、まんまと自民党本部に侵入したあたし達を待っていたのは、「飲食はあちらで可能ですよ」と言ってにこやかに党本部内のレストランを示す受付嬢だったのだから。そうなのだ。そこにはちゃんと御食事が可能な施設が設置されている。きっとそこで飯を食えば党の運営資金に回されるに違いない。「最悪だ」と艦長が思ったかどうかは知らないが、少なくともあたしは思った。目の前にはトイレもあったがどうにもプライドが許さない。結局のどを潤すことは出来ず、ポスターも買わずにあたし達は党本部を後にした。もっともこのコトがポスターを買わなかった直接の要因ではないと思う。原因の一つではあるが。
 そして再び冷房の効かない街中にあたし達は放り出された。次に向かうは大本命国会図書館である。そこでは間違いなく水にありつけるだろう。何しろあたしはすでに国会図書館を経験済みなのだ。艦長に向かって「大丈夫だから大船に乗ったつもりでいやがれ」なんて大見栄まで切って見せた。見せたが、この日はちょうど週のはじめ、つまり月曜日。国会図書館はお休みだった。なんてコトだろう!
 しかし、そんなことでは諦めない。とりあえず図書館内に受付嬢はいたし、入り口も開いていた。するりと中に侵入し、受付嬢を無視して水のあるトコまで向かう。カンペキである。自分でも恐れ入る。しかし受付嬢はちゃんと見ていたようで、階段を下りようとしたあたし達に向かって、
「本日は休刊日なので、そこから先は立入禁止です」
と言うではないか。「そこから先?」たいへん気になる言い回しだ。「そちらは」ではなくて「そこから先」なのだ。まるで西部劇みたい。がそんなことよりもナニよりも階段を降りてすぐの水にあたし達がありつけないと言うことだけはたいへん良く理解できた。
 そうなのだ。ココであてが無くなって、あとは例え一日中永田町を歩き回っても水は手に入らないだろう。そう思うと水なんてどうでも良くなってしまう。結局一日中永田町を徘徊して得られたモノはのどの渇きと政治への不信感なのだ。そして、そういったモノを語るなら居酒屋に限る。永田町から大手町、そして九段下まで歩いて、そこから地下鉄で新宿に出た。不信感とかを語って、どの渇きを癒すために。
 西新宿をぶらついてビール一杯サービスのチラシにつられて入った居酒屋はビール一杯サービスしてもビクともしないくらい高くて逆にあたしがビクついてしまったが、給仕のお姉さんが吉本多香美に似ていてたいへんビックリした。カノジョのおかげでたいへん楽しくお酒は飲めたが、おかげさまで政治への不信感とかどっかにいってしまった。
 渇いたのどで永田町から新宿へ。議事堂とか党本部、居酒屋とか大事なモノがいろいろわかった。そうなのだ、いつだって。あたし達にとっては政治よりも綺麗なお姉さんの方が大問題。永田町徘徊はそんな大事なことまで再確認させてくれたのだ。永田町バンザイ!

 
  
 今回は長いね。二回分くらい。よくがんばった!感動した!そんな言葉が聞こえてきそう。そんな桜井シイタさんのウェブサイトへはページ左上の家マークからも行けますが、ちっこいので見逃しそうです。だからリンクも出しておきます。
 
 
 
 自民党本部といえば今や小泉ポスターで有名だが、ご多分に漏れず艦長とあたしもそのポスターを買いに行った。1枚50円の代物なのだが、その党本部につく前、あたし達は坂ばかりの南北線溜池山王駅あたりで上り下りを繰り返して大変くたびれていたのだ。しかも驚くことに永田町に着いてからこっち、すべての交差点に警官が立っているのではないかと思うくらい街は警官に溢れていたので、息苦しいったらありゃしないのだが、しかし「道に迷わない」「暴漢に襲われない」等々の恩恵はあるわけで、多少複雑な想いを感じながらも、その辺に腰掛けて、あたし達は溜息山王界隈からチラホラ見えだした民家にあらぬ想いを馳せていた。
 何しろ日本の政治の中心地にある民家である!町中に立つ警官が公邸警護のついでに守ってくれるかも知れないし、もしかしたらどこぞの政治家が密談用に一部屋借りているかも知れない。駅から3分程のところに「黒澤」というソバ屋を見つけたが、料亭風でもあり表に出ているメニューには「もりそば 600円」なんて書いてあるがなかなかどうして信用できたモンじゃない。席代とかお通し代は言わずもがな、指名料まで取られるかも知れないのだ。何しろそこは永田町なのだから!六本木の秘密クラブや赤坂の高級料亭、秋葉原の裏ビデオ屋に匹敵するくらいに謎の多い土地柄なのだ。議事堂の案内さん曰く、最近出来た議事堂や官邸を見下ろせるビルの窓ガラスにはある種の角度になるとピントがズレる魔法のガラスが使用されているらしい。
 そうしてあたし達の目を避けるように、街全体で何か巨大なヒミツを隠しているのだろう。政治のヒミツなんて言うよりむしろヒミツ政治!そこはそういう街なのだ。
 ちなみに例の小泉ポスターは思いの外大きくてイヤになったので買ってこなかった。党本部の売店で二人してタバコをふかしてそれで帰ってきたのだが、これぞまさしく仁和寺の法師。吉田兼好が生きていたらバカにされたに違いない。
 
 
 

 くだんの艦長と永田町に社会科見学に行ってきた。目的は国会議事堂やら首相官邸やら。やはり世の中がこれだけ政治やら小泉やらに興味を持っている昨今、一社会人であるあたしとしても流行に乗り遅れるわけにはいかんのだ。あたしの中では遠くから議事堂を見てカッコ良いなんて言っている時代はもう終わったのである。そう、これからは議事堂の中を見てカッコ良いと言う時代なのだ。まさに政治の時代到来!
 そんなわけで、早速午後3時頃に国会議事堂を訪れたあたし達は、まず議事堂内が参議院と衆議院で真っ二つに別れている上に入り口も違う、内部の作りは線対称等々のヒミツに出会って狼狽するのだが、とりあえず近くの参議院入り口に行って観覧を申し込むことに成功した。
 しかし、この時点ですでに二、三個の「しまった!」を犯しているあたし。その際たるモノが「しまった、衆議院にしておけば良かったぜ!」というモノではなんとも実も蓋もない。何しろ参議院内を歩き回って、平日なのになぜ議員を見かけないのだろう?と言うところから疑問がスタートして、田中真紀子がいないのはなぜだ!?という疑問にブチ当たり、衆議院よりも参議院の方が見やすいですよ。という案内さんの言葉の真意を理解するまでの間に、もはや参議院の見学は終わってしまっていたのだ。
 まったくロクな質問も出来ず、あたし達は議事堂外に送り出された。唯一上出来だった質問は議事堂内では警察権を議長が持っているため、警視庁の方が一人としていないということなのだ。道理で過ごし易いはずである。
 ちなみにあたし達は議事堂の裏から入って表門から吐き出された。ウンコとは逆の人生を辿ったワケなのだが、表から見た議事堂は四角くて強そうでトイレに詰まりそうな形をしていた。


山手線ミスター

2001年5月31日
 ゴコン、ゴコン。ゴコン、ゴコン。
 まもなく3番線に〜
 駅独特の音とホームに滑り込んでくる電車。耳馴染みな音を立てて扉が開く。まるでいつもと同じ風景に多少退屈を感じながらあたしは山手線に乗り込んだ。左手にファイルケース、右手に切符という出で立ちのあたしは、それらを持ったままゆるりと車内を見渡した。どこの席も中途半端に人が座り、ドア際に経つのもどうにも居心地の悪い人の少なさに、あたしは多少辟易しながらも席に腰を下ろした。
 そして、暇つぶしに中吊り広告でも見ようと視線を上げたところ、一人の男性が隣の車輌からやってくるのが見えた。なぜか口の近くに手を持ってきて、忙しそうに動かしているのだが。
 まさか!あたしの脳味噌は瞬間的にある可能性を導き出した。が、そんなコトあるはずがない。公衆の面前で、電車、しかも山手線という首都交通機能の中枢で、まさか「歯を磨いている」なんてそんなコト、あるはずがないのだ。が、現実は小説より奇なりである。ズンズンと近づいてくるミスターの口元、手元。目を隠したってきっと見えてしまうに違いない。
 彼は間違いなく歯を磨いていたのだ。口の両端に白い泡をつけて、メントールがとても気持ちよさそうに。
 結局、ミスターはうがいとか、その他歯磨きに必要な何かをすることはなく、あたしの前を通り過ぎていったのだが。電車の中で歯を磨いているオヤジを見かけた、ただそれだけの話なのだが。だからなんだと言うならば、その言葉、ゼヒあのミスターに言ってやってほしい。
 電車で歯磨き。だから何なのだ!と。
 
 
 
 あたしの中学時代の英語教師は、大学時代ユースホステルの手伝いでブイブイいわしてたらしい。というハナシを最近思い出した。なんでも当時彼はユースホステルで一緒になったエイリアンやフォリナー達を外人と呼ぶのはあんまりなので、是非新しい呼び名を!と考えたらしいのだ。そして彼が編み出した新ニックネームが「ハローちゃん」。理由は彼らがハローと挨拶するかららしいのだが、ニーハオと言おうがボンジョルノと言おうが彼にとってはハローちゃんなのだ。
 ちなみに彼の教え子であるあたしはジャンボはインド、ハローはジョン、黒人はボブである。黒人は挨拶じゃないが。、しかし、バリエーション的にあたしの勝ちなのだ。だが、負けた気がするのだ。
 なぜだろう。

 最近、みごとに生活時間帯が逆転した。だいたい午後4時とかに起きるのだが、別にヘコんでもないし、社会から切り離されたなんてぜんぜん思ってない。むしろ社会の方があたしから切り離されてるんだろうくらいのイキオイだ。と、こんなコトを言うとき主観って偉大だなと思う。
 ところで、つい先日のコト。今まで音信不通になっていたフクヤケイスケ改めモトハシジュンタと連絡がついた。あまりに嬉しいので本名を出してしまうが、モトハシジュンタだ。
 ヤツはたいへんなオシャレさんで、当時思春期真っ盛りのあたしにDKNYがダナキャラン ニューヨークの略だと教えてくれたり、あたしに服の着こなしを教えてくれたりとそれはそれは重宝したし、そのおかげでヤツとあたしは二人していろいろなコトをしたものだ。
 そして、そのモトハシだが、ヤツは知り合った当時から将来はファッションデザイナーになりたい。と言っていた。自己紹介の時も名前よりも先に夢を語りだした辺り相当なモノだったのだが、しかし、実に良いユメだと思った。ただ、問題が一つだけあった。それはヤツにもう一つ大きなユメがあって、その夢が大陸、つまり中国を歩きまわりたいという夢だったということだ。
 大陸とデザイナー。今でこそ、どっちかを先にやって、どっちかはあとからゆっくり実現させればいい。そう思うだろうが、しかし、生き急ぐ思春期のあたし達にとってどっちかを先送りにするなんて考えられなかったのだ。だから、ヤツはいつもその二つの間で悩んでいたし、唸ってもいた。
 しかし、或る日ヤツはハジけたのだ。気付いたのではない。まるでハジけたとしか言いようのない様をあたしに見せつけた。
「オレ、良い方法思いついたよ。中国に行ってデザイナーになる。その名もモトハシ北京。DKNYとかミチコロンドンみたいでカッコ良くない?」
 当時のあたしには、その後のヤツが大陸に渡ったとか、デザイナーになったとか、それを知る術はなかったし、ましてや、あの日「冷静になれよ」なんて言ってやれるハズも無かったのだが、しかし、昨日かかってきた電話から聞こえてきた懐かしい声にはわずかに広東語が混じり、ヤツがどうにかして大陸についたことを伝えていた。
 北京語じゃないあたり、まだまだ目的の場所にはついていないのだろうが、変わらずゲンキであると報告をくれたヤツは、その後連絡先も告げずに電話を切ってしまった。
 図らずも再び音信不通。
 モトハシ北京は、今も中国のどこかをうろついている。


ヤツはあたしのこと嫌いなんじゃないだろうか?と密かに心配している桜井シイタさんのウェブサイトはコチラ→リンク
 フジテレビでやってる「とくダネ」を見ているのだが、耳と前足が切断された子犬が見つかったというニュースをやっていた。今はエクストリームの話題をやっているのだが、その子犬の話題の時に木の実ナナが泣いていた。小倉さんが怒り心頭の表情だった。この番組を見るのはだいたい徹夜明けだが、なんか、久しぶりに良いモノを見たと思ったのだ。
 それは別に木の実ナナの泣き顔がいいとか、小倉さんの怒り顔がステキとか、そういうのではなくて。彼らは人が死んでもそれほどアレな顔をしないのに、子犬が虐待されたら「なんてひどいことを!!」という顔をする。コレはとてもステキなことじゃないだろうか。
 ちなみに今はトム・クルーズとニコール・キッドマンの離婚話をやっていて、そんな特集を見ながら、今の日本ならボニーもクライドもブッチ・キャシディーやサンダンス・キッドだってそれほど憎らしげに報道されなかったろう、なんて思ってしまう。
 だって彼らは子犬を虐待していないのだもの。
 もう10年も前のことだろうか。少年の元に黒くて大きくてカッコイイ、「アローラ」という名前のシステムコンポが届いた。といっても知らない誰かから送られたモノではなく、軟弱な彼としては珍しく、ちょっとした努力をして自分で手に入れたモノだ。
 なんてことはない、柳刃の一本も持って電気屋に行ったのだが、無駄にディスプレイされたいくつもの蛍光灯を反射して、ヌラリと光るそれを構えた少年を、店長は今でも憶えているだろうし、それを振り回して「コンポをよこせー!!」って叫んだ彼を忘れるなんてことあるハズがない。
 何しろ、貯金ってコトバを辞書から抹消した15才にとって十数万円もするソイツは、あまりにも高価で、幸か不幸か十数万円の価値がどれほどかなんて、その少年に理解できるはずがなかったし。唯一コレは不幸なのだろうが、少年のうちは寿司屋だったのだ。
 とにもかくにも柳刃が魚をおろすためだけのモノじゃないコトを知っていた彼(15才)は、ギャーと叫ぶのが先か振り回すのか先かその順番も習わないうちに、叫びながら振り回すなんて上等な手段で、黒くて大きくてカッコイイ「アローラ」(当時十数万円)を手に入れたのだ。
 そして、赤く染まった柳刃を代金代わりに、少年に意気揚々と持ち帰えられた「アローラ」は、その後彼のワガママに付き合わされ、ピタリ10年後。CDを飲み込むという病気にかかった。
 振られたり、叩かれたり、ネジをハズされハダカにされたり。とにかく二人とっては二度とない10年だったろうが、今、飛び飛びに再生されるCDを聞きながら、実家が寿司屋じゃなく、柳刃なんて持ったことも無い青年は思うのだ。
 あと5年保つかなぁ…?

 こんな悪いことは考えたことも、したこともない、ブラックジョーク好き。コーヒーもブラックと決めている桜井シイタさんのウェブサイトはコチラ→リンク

 あたしだけじゃなくて。きっとみんなが思ったことだと思うのだ。別にあたしが言わなくても。きっと誰かが言い出すに違いないのだ。だからといって、あたしがその「誰か」になろうなんて枝毛の先ほども思ってないのだが、ただ、どうしても。言わずにいられないときがあるというなら、今がまさにその瞬間だ。
 そして、あたしが言うことは。
「木村拓也がキムタクなら、木村心美はキムコじゃないの?」ってコトなのだ。
 ああ、たいへんスッキリした。ちなみに判らない諸兄に説明するなら、「木村心美」ってのは木村拓也さんちの長女で、「キムコ」ってのは冷蔵庫の脱臭剤。当然この二つには何の関係もない。

 そうそう、前回の秘密メモで予告しておいた温泉の話なのですが、今回はキムコでアタマがいっぱいだったため、「混浴はオトコのユメですよね?」っていう同意を求めるアレだけ残して次回へ続く。
 覚えてればね。

マボロシ餃子

2001年5月6日
 このコラムを書き始めてからこっち、あたしはミナサンにヒミツにしていることがたいへん多いということに気付いた。例えばヒミツで「カントリー娘。に石川梨華(モーニング娘。)」を聞いていたり、ヒミツで「カントリー(中略)娘。)」を聞いていたり。つまりあたしのヒミツというのは、主に「カン(中略)。)」を聞いているということに集約されるのだが、今回はさらにもう一つ。まとめて買えばさらにお得なヒミツを暴露してみたりする。
 それは、ヒミツだがあたしはラーメンが好きだということ。餃子はニンニク入りしか食べないということ。なのだ。ただし特にコダワリはない。たまたま近所のラーメン屋の餃子にニンニクが入っていて、主にそこを利用するためにそうなったとでもいうべきだろうか。とにかくラーメンとニンニク入り餃子の好きなあたしとしては、出先のラーメン屋で見つけた「幻の餃子」なるモノを見逃すわけにはいかないのだ。
 そう。幻。マボロシ。マボロシの餃子だ。なんて心躍るフレーズだろう。マボロシなのだ。ニンニクとか野菜とか肉とかではなくて「マボロシ」。なんともウレシイ、ほんのりウレシイ名前じゃないか。やはり具はマボロシなのだろう。それは見えないとか食えないとかのマボロシではなく、食べると死に至るくらい美味しいマボロシ。
 オトコ桜井、食さねばなりませぬ。マボロシの餃子を食さねば。しかし、ここで。たいへん値段が気になるところ。マボロシだけにきっとものすごい値段に違いない。値段だけマボロシなんていう上手い話はきっと転がってないのだ。甘んじて払わねばらるまいよ。マボロシの代価ってヤツを。
 しかし、ココであたしは仰天した。なんとメニューにはこう書いてある。
*************************
 餃子       250円
 幻の餃子     300円
*************************
 ああ、なんてことだろう。マボロシが、あのマボロシがたったの300円で味わえるなんて。フツウの餃子と50円差で食べられるなんて。こんなにウレシイコトはない。
「おいオヤジ。マボロシを一つくれ。」
 ココロの中のあたしがそんなイナセな声を上げる。そしてとうとうマボロシを頼んだのだあたしなのが、ふとメニューに視線が落ちた。マボロシの下に何か書いてある。
*************************
 餃子       250円
 幻の餃子     300円
ニンニクいり、ピリとカライデス
*************************
 ん? あたしは、そこに書いてある言葉を胸の奥で反芻した。「ニンニクいり、ピリとカライデス」ニンニク入り? それはニンニク餃子というのでは…?
 そう、たった300円。その差「50円」のマボロシに、あたしは翻弄され、マボロシはホントにマボロシとなってしまった。そして、機械的にあたしの口に放り込まれるニンニク餃子は。ニンニクの味がして、少しだけ。ピリとカライデス。

今回はマボロシを逃がしたが、次こそはと密かに思っている桜井シイタさんのウェブサイトはコチラ→リンク
 トモダチに会った。高校時代のトモダチだ。ヤツは周りがアイドルやらロックやらを聴き、バンドやらを組んだりしている間にも、一人黙々とクラシックを聴き続けたのだ。しかもクラシック全般ではなくベートーベンのみを。なぜか。おかげで、クラシックに免疫のなかったあたしもあの辺には多少免疫が出来た。でも、あまりにベートーベンに偏っていたので、ある時聴いてやった。
「ベートーベンのどこが好き?」
 そしたら、ヤツはこう言い放ったのだ。
「顔。」
「だってかっこいいじゃない。気むずかしそうで」
 つまるところヤツもあたしと同じ高校生だったということ。あたしがロックバンドを見てカッコイイと言っていたのと同じ感覚でミーハーだったのだが…。当時はいまいち釈然としなかった問題を解決するべく、再び聞いてみたのだ。
「今でもクラシック聴いてるの?」
「聴いてない。そうそう、あたし結婚したんだよ」
 そう言って彼女が出したダンナの写真は、なるほどベートベンとは似てもにつかない優しそうなオトコだった。

漢字とカタカナ

2001年4月24日
 衝撃の告白とでも言うのだろうか、あたしはスカがスキなのだ。「スカ好きッスか?」なんて聞かれようもんなら二つ返事で頷いてしまう。スカ好きなだけに「ウンウン」ってカンジ。いや、そんな下品な返事はしない。いくらあたしでも恥じらいってモンがあるのだ。公衆の面前で、果ては全世界に向けて「こんにちは。スカ好きの25歳です」なんて言えようモノか。しかし、事態は思わぬところで進行し、なんと椎名林檎の新曲はスカだった。東京スカパラダイスオーケストラがアレンジをやっちまったらしい。そうなのだ。スカトロではなく、スカが好きな25歳。椎名林檎の新曲もステキだが「カントリー娘。に石川梨華(モーニング娘。)」もヒミツで聞いている。
 そんなわけで、我が友人群の総称であるフクヤケイスケに今度も電話をしたのだ。椎名林檎の新曲を聴いたのだよ。と報告したのだが、ヤツは椎名林檎を「林檎姫」なんて臆面もなく呼んでしまう様な人間なので、当然二人の会話には微妙な隔たりが現れ始める。そして、それがおかしな方向にずれ始めたと感じたのは、「椎名さんの曲題には丸の内サディスティックを始め「漢字+カタカナ」が多いのはなぜなの?」というあたしの質問からだろう。ヤツは「漢字+カタカナ」の持つ格好良さや繊細さについて語り始めた。ヤツにとってはとにもかくにも林檎姫。「弁解ドビュッシー」だろうが、「無罪モラトリアム」だろうが林檎姫様の付ける「漢字+カタカナ」の持つ響きの良さについて延々あたしに語って聞かせるのだ。
「林檎姫の付けるそういう曲題は大変繊細で格好良く、大胆にして力強く…」
 なんだか途中で眠くなりかけたが、フクスケはあたしの大事なトモダチなのだ。ソイツが必死に弁明するほど林檎姫様の「漢字+カタカナ」はイカスのだ。だからあたしも語彙力を最大限に使ってヤツの期待に応えねばなるまいよ。そして厳選された珠玉の二候補から一つ、イカした方を言ってやったのだ。
「核ミサイルとかも格好いいモンな」
 会心の一言だろう。コレこそヤツのココロにピタリとはまる「漢字+カタカナ」語だとあたしは確信した。しかし、核ミサイルの持つ繊細さや格好良さ、力強さや大胆さは残念ながらヤツに通じることはなく、電話はツーツーツーと繰り返すだけのバカな機械になってしまった。
 どこでどう間違えたのだろう。林檎姫様の下僕殿にあたしの核ミサイルは通じなかった。が、もしもあそこで、果たしてあの時「梅宮アンナ」と言っていたら、何か事態が変わっただろうか? 変わらないならあたしは悪くない。何しろ核ミサイルと梅宮アンナがあたしの限界だったのだから。

こんなコトをいつもやらかしているわけではない桜井シイタさんのウェブサイトはコチラ→リンク

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