社会復帰の女神。

パソコンが直った。
うれしいことである。まあまあ、ネットにつなげるくらいまでは復帰できたというのが正しいのだが、我が青春の集大成エロリンクはどっかへ行ってしまった。
なにやら長年連れ添った同志と死に別れたような気分で、ココロにぽっかりと開いた穴はしばらく塞がりそうもなく、あたしの方が塞ぎ込んでしまいそうだ。
もっとも、それ以外のリンクやメールアドレスさえもどっかに消えたのだから、むしろそっちを悲しむべきではあるが、IEのお気に入り内にある「エロ☆リンク」なんて、「つのだ☆ひろ」バリに誇らしげに書かれた場所をクリックしたときの寂寥感といったらない。
仕方なしにこの悲しみを分かち合うべく友人に電話したところ、一緒になってたいそう悲しんでくれ、さらに「これで携帯がなくなったらおまえはこの世で一人だなー」なんてコトまでご丁寧に教えてくれた。
うーむ。確かにそうかもしれない。何しろ友人仕事先含めあらゆる電話番号は携帯が覚えてくれているのだから、まさに最期にして最大の命綱である。これは死守しなければならない。そうココロに固く誓うのであるが。
先日、この機会にパソコンのパワーアップでも図ろうと秋葉原に出たところ、寒さでかじかんだ手から落ちたあたしの携帯は、横を徐行しながらすぎていったBMWに轢かれた。
タイヤの下でガチャリともカチャリともそんな悲鳴すら上げずに。
なんてコトだ！
これであたしはひとりぼっち。悲嘆にくれて家に帰ったところ、我が家の電話が鳴ったではないか。それは仕事先のササキ女史からの電話。つまり仕事の電話。しかし、未だかつてこれほど仕事の電話をうれしく感じたコトなどない。
興奮気味に電話口で応答するあたしはさぞ不気味だったろうが、ササキ殿。あなたこそあたしを社会に連れ戻してくれる女神様なのだ。
　
　
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