夜、サンダルで

2001年7月22日
 深夜の商店街はとてもステキだなと思う。ネオンが落ち、薄暗い街灯の灯りの中、遠くから聞こえる川のせせらぎや虫除けの青電灯が焼ける音を耳に、ぺったらぺったらサンダルを鳴らして歩くのだ。そうすればまるで世界が自分のモノのような、そんな錯覚すら覚えてしまう。夜空に浮かぶ月も手伝ってとてもとてもいい気分になってしまう。
 しかし、世界はそんな簡単に手中に出来るほど甘くない。街灯の下を見れば目も虚ろな若者が、居酒屋のゴミからは生臭いニオイとゴキブリが。あたし以外にも夜を我が物顔で謳歌する方々はいらっしゃるのだ。
 それは例えばあたしの目の前に出てきたオンナでさえも、きっと夜を自分のモノだと思っていたに違いない。髪を振り乱して、ヒールを片手に素足で歩いている彼女。花柄のワンピースは、かたっぽの肩紐が落ちて胸元が大きくはだけていた。
 ワケアリだろうか?もしくはあらての痴女?彼女はあたしの前に出ると、立ち止まって「ぎゃー」と叫んだ。少しだけ非難するような眼で見たあと、肩紐を直して、しっかりとした足取りであたしの前を歩いていく。
 街灯に照らされ、夜の商店街を行く彼女とあたし。若者とゴキブリと生ゴミのニオイ。川のせせらぎと青電灯とあたしのドキドキ。月明かりよりも明るい濁った街灯夜が照らす夜の商店街は、ステキだと思うのだ。
 
 
 

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