蚊取り線香余話

2001年7月3日
 先日、シイタコラムに蚊取り線香の話を書いた。あたしが蚊取り線香を買って、モスキート共の大量虐殺を計画し、そして逆に殺されそうになったという。そのコトの顛末をセキララに語ったものだ。手前味噌でなんなのだが、あたしのウェブサイトに設置されているBBSでは、そのコラムを読んでたいへん感銘を受けたという有志数人と共にそれの話題で盛り上がったり下がったり、それはそれは楽しんだのだ。何度も言うが感銘を受けた有志数人だ。あたしは今でもそう思っている。その辺りに関しては特に意見とか求めない。
 ところで、あたしのICQリストにはTrinityというアメリカ在住のお嬢さんが入っている。ICQに付属するランダムチャットという夢のような機能をヒマに飽かせて試み、うまいことゲットしたモノだ。そして彼女とは幾度となく会話を交わし、おかげで今ではネイティブをも混乱させる見事な英語力を身につけた。ちなみに彼女の口癖はwhat? あたしの口癖はi cant understandだ。こんな二人はとてもキュートだと思う。
 そして、本日も彼女とPOPでSWINGな会話を楽しんでいたのだが、彼女はどうも異文化、つまりステイツ以外の国の文化にたいへん興味津々だと言う。そこでひらめいたあたしは彼女にこう聞いた。
「ステイツに蚊はいるかい?」
 すると彼女は「what?」と返してきた。彼女お得意のセンテンス。しかし、母国語以外で会話するあたしに会話の脈絡を気にする余裕は無い。当然、なぜ蚊の話をふったのかなんて一切説明しないまま、さらに彼女にこう言った。
「日本では“蚊取り線香”で蚊を退治するんだ!!」
 しかし、彼女の反応は「is that a book?」なんと言うことか。蚊取り線香は本じゃない。どうやら彼女は日本人が本の音読で蚊を落とすと思ったらしい。たいへんな誤解である。しかし、そんな誤解を解くほどの英語力を持ち合わせていないあたしには、勝手に会話を進める以外にそれを取り除く方法は無いのだ。だから、あたしは彼女に蚊取り線香のグラフィックを見せることにした。あのグルグルから煙が上がっているグラフィックなのだが、やはりその様を見ても彼女には理解できなかったらしく「what?」という返事が返ってきてしまった。とても悲しいことである。しかし、運のいいことにあたしは前向きなのだ。だから彼女とのコミュニケーションは諦めない。
「蚊取り線香は、その煙で蚊を退治するのさ」
 そして、とうとう必殺の一言を放ってみた。蚊取り線香の存在そのものをごくごく簡単に、明快に説明したのだ。これで理解されなければ、あたしと彼女の仲もそれまでだろう。
 返事はしばらく返ってこなかった。
 アッアゥ。というあの音が懐かしい。小さなマイハートを押しつぶすかのような沈黙が続き、突如彼女の返事があった。そこには一言「bye!」とだけ。
 別れはいつも突然なのさ。特に彼女との別れはいつもこうなのだ。あたしのサヨナラも聞かずに彼女はログアウトしてしまう。次に会話ができるのはいつだろう。そして彼女は蚊取り線香が何か判ったのだろうか? 部屋の片隅でうっすらと煙を吐くブタの置物を見ながら、あたしは思うのだ。


コミュニケーションがひどく不自由に見える桜井シイタさんのウェブサイトはコチラ→リンク
 
 そして、そんな桜井シイタさんのICQナンバーはコチラ→10903110[sakurai]
 物好きとかそういう人、そうじゃなくてもどうぞ。登録してくれるとウレシイです。
 
 

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年5月  >>
27282930123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

お気に入り日記の更新

テーマ別日記一覧

まだテーマがありません

日記内を検索