少年A

2001年4月5日
 ちょっと前のお話なのだが、近くのスーパーで買い物をしているときのこと。あたしがレジで順番を待ちをしていたら、あたしの裏手を通って、隣のレジの中に6歳くらいの少年が入って行って、じーっと勤労おねいさんを凝視している。
 あたし思ったね。こりゃきっと働くおねいさんに見とれるに違いない。少年、オマエの気持ちよく判る。いっそそのまま抱きついたりとかしてしまえ。その上スカートでもめくってあたしに見せてくれ。とね。
 しかし、少年は違ったのだ。じっと、じっとおねえさんを見ている。何をするわけでもなくじっとおねいさんを見ていて、そして、彼女がキャッシャーを開ける絶妙のタイミングで。
「十円ちょうだい。」
 すいっと手を出して、
「十円ちょうだい。」
 そう言ったのだ。なんてコトだ。彼は新手の強盗かなにかか? 「十円ちょうだい」って。そんなバカな。しかし、少年はまるで機械でも入ってるみたいに正確に続ける。
「十円ちょうだい。十円ちょうだい。十円ちょうだい。十円ちょうだい…」
 レジの中のおねいさんは、「はいはい、また今度ねー」って軽くあしらっているし、周りのおばさん達もまったく気にしていない。しかし、きっとそいつは銃とか持ってる。あたしは、あたしだけは、そう思うのだ。何しろあの素早い動きに、マシーンのように冷徹にカネを要求する態度。
 ヤツはきっと一級品の悪に違いないのだ。ワルじゃないぞ、アクなのだ。

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