ノブノブ

2000年12月7日
 日本人としては、椿の花はその首元からポトリと落ちるモノダぐらいの教養は欲しいもので、かく言うあたしもそのくらいの教養は持ち合わせております。それゆえ、小粋なインテリゲンツィア風立ち振る舞いもお手の物なのですが、しかし、本日の椿は紅でも白でもなくスチール製。なんともメタリックな彼ですが、一般的にはドアノブなんて呼ばれたりしています。
 そして、本日はトイレに入って「ふぅ」なんて一息ついた後にそいつが「ポトリ」なんて音を立てやがったわけですから、タイルの上のメタリックな彼を取り上げて数秒後、「トイレに閉じこめられた」という状況を理解したあたしの頭をグルグル廻る考えと言えば「助けを呼ぶ」。これだけです。一人暮らしのオトコが誰もいない部屋に向かって叫ぶサマのなんともエレガントなこと。
 ダシテー、ダシテー、ダシテー。
 ダシテー、ダシテー、ダシテー。
 ただひたすらに15分間の涙の訴え。消防隊もレスキュー隊も現れないことに怒りと安堵を覚えながら、換気窓から外に出たあたしの目に映った隣人は、ステキな笑顔を浮かべてこう言ってくれました。
「玄関のカギ、閉まってたぞ」
あー、あー、あー。

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